石門客棧

「石門客棧」は海抜400メートルの山の上にある。エメラルドグリーンの山頂は雲霧が幾層にも重なり合い、空気は澄み切っているため、爽快な気分でベランダ席での食事を楽しめる。ベランダから見下ろすと、一面がすべてナシ、ヤマモモ、ミカンの畑で、毎年6月から9月にかけて、水分をたっぷり含み、十分な甘さを備えた高接ナシが大量に収穫される。果物の収穫が終わる前から、田媽媽（ティエンママ）のメンバーである張玉麗（ジャン・ユーリー）さんは果物料理のレシピ作りに頭を悩ませ、イチゴやナシの季節の料理が店の看板メニューに名を連ねる。
冬は「イチゴフライ」や「イチゴ火鍋」、夏は高接ナシを使った創作田園メニューの「和風ナシ鶏肉ロール」、「ナシと牛肉の煮物」、「ナシ飴」など、旬の果物の純粋な甘さだけでなく、張さんのおふくろの味を満喫できる。
「水梨杏仁鮮鶏湯」（ナシとアンニンの鶏肉スープ）は10年前の開店時のメニューで、店の経営に欠かせない主力メニューとなっている。張さんは幼い時にのどがよくなかった自分のために、母親が川貝枇杷（センバイビワ）のスープに、ナシやアンニンを加えて30分煮込んだスープを作ってくれたことを忘れない。この料理はのどによく、気管を保護する効能がある。開店時、この料理を出してみると、好評を得た。毎回この料理を作るとき、母親のまごころを思い出すという。
石門客棧は快適な食事だけでなく、休憩のための環境を提供している。また、果物の収穫体験、擂茶（レイチャ）のDIY体験などのイベントの主催や民宿の経営なども行っている。張さんはここに食事に来てくれたゲストがみな実家に帰ったような気持ちになることを望んでいる。常連客は果物料理のほかに、「石門東坡」（豚バラ肉のしょう油煮込み）、「桔醬玉米鶏」（ママレードで食べる塩漬け玉米鶏）、「四季肥腸」（サヤインゲンと豚大腸炒め）などの客家料理を必ず注文する。張さんは、「手料理の一番すごいところは、お客さんが外で色々食べた後、また食べたいと思ってくれる味があることだ」と自信を込めて語っている。