「ご主人、おたくのブドウ園はどれぐらいの大きさですか。」「どれぐらいの大きさって、ここから見渡せるのが全部そうだよ。」樹生(シュウシェン)ワイナリーのオーナーである洪吉倍(ホンジーベイ)はこちらからの問いかけをからかうようにそう答えた。確かに、樹生ワイナリーから下に広がる一面のブドウ園はすべて同ワイナリーの畑である。樹生ワイナリーはブドウ栽培の面積が広いだけなく、50年以上の歴史を備えており、早くからワイン醸造に進出した老舗ワイナリーの1つである。メディアの報道によれば、樹生ワイナリーが生産した「埔桃酒」というワインは国際的品評会で金賞を6回、銀賞を7回受賞したことがあり、フランスのミシュランレストランが認めた台湾最初のワインでもある。ワイン好きであれば、こうした結果を知って、樹生ワイナリーに一度は足を運んでみたいと思うに違いない。 圖說:ブドウは手を伸ばせば届くまで垂れ¬下がり、古いブドウ棚で日光が遮られ、7月の収穫前は特に美しい。 樹生ワイナリーは台湾煙草湾・酒専売局と契約を結び、1965年からここでブドウの生産を行ってきており、全盛期には450ヘクタールのブドウ園を有していた。契約生産を最初に行ったのは洪吉倍の祖父で、耕作面積が最大だった。1996年に専売局が契約を停止しても、洪吉倍は果樹園やブドウ棚を処分は考えず、補助を受け、転作を行いながら、ブドウ栽培にこだわり続けた。台湾は2002年に民間によるワイン製造を認可し、行政院農業委員会は農村のワイヤリーの指導を開始した。洪吉倍はすぐに樹生ワイナリーの設立を申請した。ワイナリーの名前は洪吉倍の祖父に由来している。 圖說:樹生ワイナリーは台中の有名なテーマパークの後方に位置している。 樹生ワイナリーは台中の有名なテーマパークの後方に位置している。店舗はきらびやかでも、有名でもないが、ワインの分かる消費者は皆、ここにいいワインといいブドウが隠されているのを知っている、ワイナリーには製品をさばく他の販路はない。常連客が時々来店して、品物を選び、何本かの瓶を携えて帰っていくだけである。ワイナリーを訪れる観光客はブドウ園の中を見学できるが、ブドウ狩りはできない。というのも、樹生ワイナリーのブドウはワイン醸造用の種類が主体で、そのまま食べるには適していないからである。オーナーの後をついて傾斜地を降りて行くと、緑色の透き通ったブドウがブドウ棚にぶら下がっているのが目に入る。これらのブドウ棚はどれも我々の年齢よりも古く、台湾のワイン産業の発展を静かに見届けてきたに違いない。緑色の透き通った大粒のブドウを見たいなら、7月半ばに同地を訪れるとよい。その頃になれば、ブドウが熟し、摘み取りが開始され、果樹園は非常にきれいな風景となる。ブドウ狩りはできなくても、ワイナリーの見学はできる。農業委員会、農糧署、農会、専門家などから長年指導を受けてきた樹生ワイナリーには非常に優れた設備がそろっている。説明を受ければ、ワイン醸造の方法や工程をすぐに理解できる。フランスから輸入された酒桶がたくさん積まれているのを目にすると、台湾の誇りを目の当たりにした興奮で心が思わず高揚する。 圖說:栽培されているブドウの多くはブラック・クイーンやゴールデン・マスカットなので、そのまま食することはできない。 圖說:工場内に積まれた酒桶。酒桶はすべて輸入品。 ブドウの世話で長時間直射日光にさらされるため、オーナーは常にサングラスをして目を保護している。そのため、オーナーにはクールでハンサムな印象を持ったが、話をすると、実際は親切で、ユーモアがあり、気前のいい人物であることが分かった。ワインに興味があれば、友人を誘って樹生ワイナリーの見学を申し込んで見るようお勧めする。グループ旅行であれ、家族旅行であれ、この地を訪れれば台湾ワインの魅力を知り、醸造工程を理解できる。帰路につく前に、気に入ったワインを買って持ち帰るのを忘れないでいただきたい。他の場所では手に入らないので、買い忘れると、また引き返してこないといけない。 圖說:オーナーの洪吉倍は気前がよく親切だ。 圖說:ワイナリーのワインを数種類テイスティングすると、台湾ワインの魅力がわかる。 圖說:チェリーやラズベリー風味のワインもある。 圖說:樹生ワイナリーの醸造所。 住所:台中市外埔区六分里水頭二路8号(醸造所)台中市外埔区六分里月眉西路588号(店舗)電話:04-26833298ホームページ:http://shu-sheug.com.tw/sindex-1a.html