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宜蘭縣

天送埤レジャー農業エリア

ネギの香りが漂い、銀柳が赤く色づく。伐採の歴史の足音がその中で響き渡る。蘭陽渓のほとりの緑の肥沃な田野。平穏でのんびりとした雰囲気の歳月が、ゆっくりとはじまります。

中央山脈から一路押し流されて下り、濁った宜蘭渓が天送埤へと到着して、川はついにその短気さを緩めるのです。山からもたらされた土砂は沈殿し、縦横無尽に小径が広がる肥沃は田野へと堆積します。天送埤は蘭陽平原の「水頭(水源)」です。きれいな水質に、加えて南西側を山が遮り、霧や雲が多くて湿度が高く、青ネギの栽培に適しています。田畑には一畝一畝と整然とした三星葱が天に向かいまっすぐ伸び、誇らしげに「白く長く、柔らかで、味の濃厚なネギ」の優れた点を体現しています。

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田んぼでのネギの収穫1日農家です

青ネギで食農教育を体験

三星ネギは退職して故郷に戻った張政雄さんに、新たな事業を展開させることになりました。ネギ、稲を栽培していた張政雄さんは自ら「星宝葱体験農場」でネギ畑のガイド、ネギの収穫、ネギ入りパイのDIYの食農教育体験イベントを開催しています。人々をネギ畑に導き入れ、三星ネギの栽培について理解してもらっています。稲に覆われた田んぼのあぜ道に立ち、白と緑の鮮やかな三星ネギを引き抜きます。その後農場に戻って葱を洗い、ひげ根の上の土を洗い流します。この時ネギの葉から放たれる辛みが、空気に漂い直接みんなの鼻を刺激します。この味覚と神経を挑発する濃厚で強烈なネギのにおいも、ネギパイのDIYでは大人も子どもも最も期待する香りとなるのです。張政雄さんは人々にネギパイのレシピを公開しています。皮を伸ばし、葱を包み、サクサクで香り高く汁気たっぷりのネギパイを焼き上げれば、みんな食べるのをやめることができなくなる美味しさです。この土から食卓への食農体験は、本当に食べ物が「得難い物」である道理を理解させてくれます。

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造り終わったネギパイをただちに油を引いて焼き上げれば、その場が香りで溢れます

木材伐採のタイムトンネルを進む

日本統治時代に、天送埤の人々は多くが太平山の林場で木の伐採に携わっていました。木々を太平山林業鉄道の経由するこの地まで運び、天送埤駅を建設しました。林場での伐採が禁止されるのに伴い、鉄道、天送埤駅も歴史へと変化しました。伐採の歳月は残された貴重な文物として歴史の奔流の中を漂いましたが、天送埤の人々の情は相変わらず暖かく、日々平穏に過ごしてきました。地元の長老たちが伐採用の工具を寄付して「天送埤文物室」が設立され、ドアの外には3基の渓の石畳、カラフルに色付けされた石草垺(もともとは切り出した石を積み上げた土手)がそびえ立っています。先人たちが石を切り出して土手を創り上げた技術を表現しており、特色あるランドマークとなっています。後に天送埤レジャー農業エリアでは管理委員会の推進により文物室は「天送埤故事館」と改名されました。さらに旅行サービスセンターの機能が加わり、地元の青年農家による農産物や特産品も販売されています。1人当たりNT$50を支払えば、伐採体験、「魁仔咧」(木こりが力を出して木を移動させるときの歌)のガイドイベントを予約できます。

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天送埤故事館では太平山野林業の歴史と伐採道具を展示しています

梨を守る趣あるミニ傘

6月下旬の初夏になると、天送埤の梨が熟します。梨は温帯の作物ですが、三星の果物農家は平地で烏梨の木の枝の上に日本の品種である豊水の穂を接ぎ木しています。実った果肉は雪のように白く、果核は小さく、シャキシャキした口当たりは豊水梨のようで、人々からの称賛を勝ち得ています。果物農家は三星の地名、そして軍隊から「三星上将」の位階を借受けて梨に「上将梨」と名付けました。「連寿果樹園」の許憲明さん、洪秀蓮さん夫妻は心を込めて最良の上将梨を栽培し、品評コンテストで特等を受賞しています。梨の木に穂を接ぎ木すると、白い花のつぼみが出てきた時、ちょうど春の雨に遭遇します。雨足がつぼみが開くのと受粉に影響するのを恐れ、1つ1つのつぼみのグループに保護作用のある小さな傘が括り付けられます。これにより梨の木が傘をさす面白い景色が形成されるのです。毎年6月25日から、許憲明さん夫妻は上将梨の収穫を開始します。この時に立ち寄ったのなら、甘く手美味しい汁気たっぷりの上将梨を味わうことをお忘れなく。

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許憲明さん、洪秀蓮さん夫妻の上将梨は粒が大きく果汁たっぷりです

銀柳を収穫して喜びの雰囲気に浸る

冬の天送埤は赤色の喜びの雰囲気に満ちています。地元では年越しの風景として有名な花卉の作物-銀柳(バッコヤナギ)は、閩南語(台湾語)の発音が「銀両」ににていることから、「採銀柳、接銀両(銀柳を収穫すれば、お金が手に入る)」と言われ、冬に天送埤での旅行では必ず「沾喜気(喜びの雰囲気に浸る)」ための旅の体験スケジュールとなっています。もともと台北でパブを経営していた李宏昌さんは、カラフルな都市の生活に別れを告げて天送埤の実家に戻り青年農家となり、三星葱と銀柳を栽培するようになりました。李宏昌さんのおじさんが経営する葱仔寮体験農場の隣に、お爺さんが精米をしていた古い家屋を新たに整理して、外壁にペイントを施してインテリスタイルの銀柳野イラストを描き出して「銀柳館」を設立しました。冬に入る12月から2月に、銀柳館では冬の季節限定の銀柳摘みイベント、銀柳の畑へのガイド、盆栽のDIYなどの体験イベントを開催しています。田んぼに下りて喜びの雰囲気に浸りに来るのをお待ちしています。

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青年農家の李宏昌さんは自ら銀柳の採取、盆栽DIYの指導を行っています

子豚たちと超近距離で触れ合う

天送埤では台湾では珍しい豚をテーマとした農業体験イベントが開催され、子どもたちの笑顔がいつもあふれています。「天山レジャー農場」のオーナーであり養豚の達人である黄正徳さんは、1997年に口蹄疫が流行して養豚に大きな被害を被った後、養豚の規模を縮小し、生態レジャー農場へと転向し発展してきました。台湾での養豚文化、ホタルの生態、環境教育、DIY体験、渓流を遡る、チョウチョの干渉、安農渓の川下りなどのセットメニューを開催しています。中でも豚と人類の文化と習俗の紹介、子ぶたの抱き方、豚に草を食べるよう促す「豚の奇遇記」は、家族連れから最も喜ばれています。乳離れしていない子ぶたを抱けば、ほとんどの人にとって豚の赤ちゃんとの初めての距離ゼロでの触れ合いとなります。このほか大人の豚が芝生の上を奔走するよう促す時には、緊張した雰囲気のなか面白さを味わえます。

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天山レジャー農場で豚に草を食べさせるために促せば、面白さ満点です