漬けこまれた醤菜、メニューのない客家のグルメ、窯焼きのごちそう、甘酸っぱいジャム。池上を遊ぶなら、味覚のメモリーで、地元の農産物で作られた料理の素晴らしい風味を覚えてください。
台東の池上は縦谷の地形による日照が比較的短い影響により、稲の生育期間が比較的長くなっています。このため極めて優れた口当たりで味がよく、優れた品質の良質の米が育まれ、台湾でも有名な米の郷となっています。ここ数年アートイベントとコマーシャルのおかげで、池上の稲田の中の老木、街灯のない田んぼの小路が、たくさんの観光客の訪問を促しました。しかしながらこれらの人気観光エリアが発展する前から、灌漑された素晴らしい田畑の大坡池、海岸山脈の浅山区など、どれも池上ののんびりした生活を味わうのには格好の場所です。しかし地元の農産物の美味しさを味わうのもお忘れなく。
古い建築に隠れた窯焼きの味わい
大坡池から遠くない場所にある「新開園窯焼」は、美味しい窯焼きグルメと一風変わった風味の古い建物で、訪れる人々に深い印象を残します。新開園窯焼の所在地はもともと日本統治時代の「粉工場」でした。のちに日本が敗戦により台湾を離れた後私有地となったことから、新開園窯焼のオーナー陳徳光さんの父親が一部のスペースを購入して住居としました。建設業に従事し、古い建築物にも興味がある陳徳光さんが後にその他の部分も買い取り、2年の歳月をかけて古い建築物のレンガ、木材を修復しました。陳徳光さんはベーカリーで仕事をしている妻が窯焼きパンに興味を持っていたことから、家屋を修繕する際に大窯を1基建設しました。パンを焼いたり、魚を焼いたり、肉や野菜を焼くことで、窯焼きの特色を持つレストランとなりました。このレストランの室内の椅子とテーブルは、陳徳光さんが自ら作製したものです。人の心を感動させることを出発点に、レストランの全体の環境を創り出しています。陳徳光さんは同じテーブルで一緒にご飯を食べた人は皆か家族であると考えています。新開園は陳徳光さんが育った家であり、家庭の暖かさを食事にやって来た人々に届けられるよう願い期待しています。
初夏のある日の正午、呉山花さんはまさに半日間太陽の光に晒された老豆腐(木綿豆腐)をひっくり返しているところでした。豆腐をさらに2日ほど日に晒してから、天然麹菌を加えて瓶詰にして完成です。時間をおいて醸造すれば風味の濃厚な豆腐乳となります。食べるのが好きで豆腐乳を作るようになった呉山花さんは、ここ数年直接大豆を栽培し、さらに豆腐店に卸して老豆腐を作製して、食材の供給元をコントロールできるようになりました。呉山花さんはもともと母親と一緒に池上の山間部で梅の木を栽培していました。梅を卸売りするほか、梅を少し残して脆梅(カリカリ梅)、紫蘇梅を漬けていました。母親から漬物についての指導を受けたことにより、製品はますます多様化していきました。販売チャネルは口コミで鄰の街へと広まり、SNSメディアにまで発展しています。予約購入者の数が増え続けたことから、池上郷農業組合の手助けにより「三代三花」の漬物ブランドを設立しました。また指導により展示販売イベントに参加し、好評を博しています。現在三代三花の製品は種類が極めて多く、梅の漬物、梅酢、梅エキスなどの梅製品、福菜、ドライレモン、作りたての豆乳と大豆などがあります。このほか呉山花さんは山でも山苦瓜、澎湖ヘチマ、ツルムラサキ、ムラサキルエリア、タカサゴサンシチソウなどの各種の季節性のある野菜を栽培しています。また親切な宅配サービスも提供しており、購入にも便利です。
緑豊かな玉蟾園
大坡池鄰の山の小路を登っていくと、間もなく「玉蟾園」民宿の広々とした緑地と大木が目に入ってきます。頼建光、彭玉琴夫妻は古い家と果樹園を改築して玉蟾園としました。また優れた料理の腕を持つ彭玉琴さんは、自家農園で毎日収穫される作物に応じて、メニューのない様々な客家のグルメへと変化させくれます。ぜひ先に予約して楽しむようにしてください。エリア内には林の間にオーナーたちの作業室があります。外観の作りはまるでヨーロッパに来たかのようです。木工が好きな頼建光さんは経済的価値を持たないベニヒノキの流木の細枝で、手作りのペンを作製しています。1本のペンには独特の木目と香りがあり、優れた手土産となっています。彭玉琴さんはコックとしての役割のほか、手作り石けんの達人でもあります。園内で栽培されている植物を利用して、エッセンスを抽出して石けんを作製しています。例えばオーガニック米ぬか石けんは、彼女が心をこめて研究開発した傑作です。
真心を伝える甘いジャム
楊素秋さんは厨房で各種の材料を準備し、パイナップルをカットしてジャムの作製の準備をしています。20数年前に食品加工プログラムに参加した後から、旬の野菜果物に全力を尽くしてきました。農家の人々の苦労を無に変えてしまうような苦境に手を差し伸べるため、そして新鮮な野菜や果物にもう一つ、その価値を延長できる場所を探し出すためにです。もともと実験室の研究スタッフだった楊素秋さんは、農業に対してこの上ない情熱を抱いていました。以前は南投でオーガニックパイナップルを栽培していましたが、のちに池上の人々の情熱に感動し、池上の梅の木の林の間に定住しました。毎年梅が成熟する季節になると、友人たちが彼女を探して梅狩り、梅を漬けをしにやってきます。各地で食品加工のカリキュラムの教鞭をとるほか、楊素秋さんは「禾麥窯」ブランドで旬の果物のジャムを作製し、ジャムの達人となっています。春の梅とマルベリー、夏のパイナップル、秋のローゼル、どれも美食家たちが先を争って禾麥窯に予約する人気商品です。