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花蓮縣

馬太鞍レジャー農業エリア

地下からとうとうと流れ湧き出る泉、豊かで肥沃な土地。馬太鞍湿地でアミ族の文化を体験し、農業の新たな面持ちに出会う。

花蓮・光復の馬錫山にはかつて優れた水が出ることから、製糖工場が設立されました。山のふもとにはとうとうと湧き水が流れ出し、馬太鞍湿地となりました。「馬太鞍」とはアミ族の言葉で「樹豆」を指します。農業が近代化された後、馬太鞍にはたくさんの河の流れがあることから機械での耕作に不向きでした。収穫も乾燥地にも劣ったことから休耕面積が多く、かえって水生植物、鳥類、カエル類、昆虫と魚やエビに生育と生息のための絶好の環境を提供することとなりました。生物多様性の保護と生育と発展が、このエリアの大きな特色となっています。

朱進郎さんは欣緑農園で人々と大自然が仲良くなる楽園を創り出しています

Palakaw——アミ族の生活の知恵

馬太鞍湿地と生態旅行を結び付けた、推進者のうちの1人はまさに「欣緑農園」の朱進郎さんです。朱進郎さんは生態教室、湿地のガイドイベントを開催し、アミ族の部落の住民招きイベントの解説員を担当してもらっています。アミ族の伝統的な漁法「Palakaw(巴拉告)」が体験できます。Palakawとはアミ族の言葉で「魚を生息させる池」を意味しています。アミ族の人はその場で採った竹筒、木の枝とビンロウの葉などの自然の素材を利用して、魚やエビを生息させ自由に出入りできる3階建ての「マンション」を建設します。Palakaw(巴拉告)を池と渓流に放置してしばらく時間をおいた後、部族の人々自ら引き上げてPalakaw(巴拉告)を網の中に入れます。魚やエビはそのまま網の中に落ちていき、簡単に漁獲を得られるのです。アミ族における漁業の原則は、食べる分だけ獲る、必要な分だけ獲るよう節制することであり、アミ族の永続的な生態を保つ生活の知恵を伝えています。近年、朱進郎さんは重心を食農教育において、地元農家との契約により、地元の旬の野菜、水性植物で作るヘルシーな養生料理をリリースし、積極的に観光客に「フードマイルの低減」の理念を普及させています。このほか朱進郎さんと種を愛するガイド生態ガイドの薛恵芳さんは一緒に「種子館」を創り出しました。静的な種による手作りDIYを利用し、人々と生態環境が接触する橋渡しとなっています。

種子館手は豊富な手作りの種によるアート作品が収蔵されています。(提供:種子館)

歴史と文化の伝承

馬太鞍湿地にある「馬太鞍文史工作室」の蔡義昌さんは物語の素晴らしい語り部です。蔡義昌さんのアミ族での名前は「拉藍」で、初期に部落の長老の口述文化と木彫り芸術を記録し、次の世代へと伝承させるため、大量の映像を録画し逐一文字化して保存しています。部落の伝説と故事、口伝での歴史に熟練していることから、拉藍さんは馬太鞍の物語と自然についてを語るときには、ユーモアがあり面白くまるでアラビアンナイトのようで、いつも楽しさの中で馬太鞍を知ることができます。拉藍さんはガイドと生態体験イベントを開催するほか、「拉藍の家」を経営しています。エコロジーな旅により、馬錫山のふもとにあるこの清浄な土地が維持されるよう願っています。

拉藍さんはいつも馬太鞍の過去、現在と未来をとうとうと語ってくれます

よく知っているいつもの場所- 目を惹きつける野草料理

焼かれて熱された蛇紋石が運ばれてきました。サービススタッフが石を挟んですばやくきれいな水をまいて灰を取り除き、檳榔の葉で編まれた鍋の中に放り入れると、鍋の中のきれいな水がただちに沸騰するさまを見ることができます。続いて食材を鍋に入れ、魚やエビにしっかり火が通った後、さらに湿地の水性の野草を加えれば、清々しく甘みのある石の火鍋が完成します。これは「紅瓦屋」で最も色と香りを備えた、まず最初に選ぶべき美味しい料理です。熱した石で食材を煮る石の火鍋は、アミ族の伝統料理です。かつて部族の人々が外出した際、塩と食材だけを携帯し、煮炊きの道具はその場で準備していました。ついでに採取した野草、檳榔の葉鞘と石を組み合わせれば、料理を作ることができるのです。鄭彦、林鳳廷夫妻が経営する紅瓦屋は馬太鞍湿地で初のレストランであり、アミ族の料理を提供しています。野草は店内での大きな特色の1つです。盛沢山の盛り合わせ、旬の野菜の炒め物に、レストランの流木、石、農村の器具の装飾とレイアウトの組み合わせ、1品のごとどれもに食指を大きく動かされる美味しい料理が創り出されています。

紅瓦屋の野草の盛り合わせです。地元の旬の野菜や果物を集めました

瑪布隆・いち青年のオーガニックへの道

100大青年農家に選ばれた柯春伎さんは8年前、子どもの健康のために故郷に戻り定住しました。農業については門外漢でしたが、オーガニック農業へと参入し「瑪布隆農場」を設立しました。遠くに目を向けると、収穫機が黒豆の畑を行き来しています。しばらくすると黒豆が搬送車から滑り落ちてきました。4年前、柯春伎さんはオーガニックの方式で雑穀を栽培しました。当時は農具の補助もなく、除草、収穫はすべて人の手に頼っており、植え付けのコストを下げることができませんでした。現在では近隣の青年農家の仲間たちで購入した収穫機が、柯春伎さんの収穫を手助けしてくれます。田畑での人力の調節ができるようになり、一息つくことができるようになりました。台湾東部には先天的に優れた農業環境があり、さらに政府は雑穀の栽培を奨励しています。雑穀の栽培に専念することで、先んじてチャンスを得ることができました。また同時に北部で仕事する夫が故郷に戻り耕作へ参加することになりました。「瑪布隆」はアミ族の言葉で集いの意味があります。またこれは柯春伎さんの将来への期待と願いを表しています。家族と農業に興味のある人々が故郷に帰り農業に従事し、生活を共にシェアできるよう願っているのです。

柯春伎さんは瑪布隆農場を清算とレジャーのフレンドリーなミニ農場として、農業が好きな方への農業体験を行っています

面白い夜間の生態観察

この馬太鞍という美しい土地が、朱進豊さんを惹きつけたのです。台北での建設業を離れ、故郷に戻り民宿「石頭屋」を経営することとなりました。朱進豊さんはアミ族の言葉で石頭屋のそれぞれの部屋を命名しています。また特別に夜間の馬太鞍と湿地の生態観察ガイドイベントを計画しています。夜の帳が低く下りる時刻になると、朱進豊さんはヘッドランプをかぶり、観光客を馬太鞍へと導きます。水の中に住む各種のカエル、爬虫類や虫、ホタルや渓流の魚やエビなどを観察します。同時にたくさんの地元の物語をシェアしてくれ、湿地で初めて体験できる知性と趣を感じることできます。

朱進豊さんは頁岩で石頭屋の外壁を飾り、建築と地元の自然の景観を一つに融合させました