六十石山に通じる道では台東・花蓮地域で最も美しい風景を楽しめる。山道を登っていくと、まるでヨーロッパにいるかのような雄大な花東縦谷の全景が見渡せる。水田の景色と雲の切れ間から差し込む陽光の余韻は筆舌に尽くしがたく、小さなスイスと呼ばれるのも納得である。
鉄掌櫃茶舍で地元のおいしい料理を味わう
鉄掌櫃茶舍では、旬の野菜、自然養鶏の肉質が柔らかい鶏肉、金針花の天ぷらなどが味わえる。どれも地元農家の魅力的な料理で、夏バテ予防に役立つパイナップルとショウガのさっぱりした和え物は夏場の必須メニューとなっている。
野山を散策し、金針花を摘む
金針花の開花期には金針花摘みを体験してほしい。金針花畑の中の小道を進みながら、まだ花を咲かしていない蕾(つぼみ)を探すのも楽しい。花を摘みながら、山の景色を観賞すれば、一挙両得である。
六十石山の金針花畑は立ち入りが禁止されているので、注意してほしい。地元の農家が栽培している場所や予約すれば鑑賞できるエリアもあるので、金針花摘みを体験したい場合は、農家に事前に申し込んでおくとよい。
金針花を使った料理には、きれいな黄色のものやコーヒー色のものがある。これは、近年、健康志向の高まりで、金針花の乾燥に硫黄を使用しなくなったためである。その結果、従来の硫黄燻製で乾燥させた金針花よりも色が濃く、食感もソフトになった。製造中は花弁が崩れやすく、従来の方法に比べて製造コストも高くなるが、健康的であるという理由以外にも、こうした理念にこだわる金針花農家は応援されるべきである。
龍安製茶廠での茶摘み体験
龍安製茶廠は海抜900メートルの高所に位置し、周囲には金針花畑が広がっており、黄色と緑色が織りなす独特の景観を備えている。
茶摘みのポイントは、枝先端の柔らかい葉、いわゆる「一心二葉」を摘み取ることである。摘み取り作業中、手の上をウンカが這うことがある。ウンカは茶畑の害虫とみなされることもあったが、ウンカに噛まれた茶葉から作られたお茶はフルーティーな香りが増すことがわかり、有名な東方美人や蜜香紅茶(はちみつ紅茶)など、多くのお茶の重要な特徴となっている。このような生態系を維持するには、農薬は使用できない。また、手間を惜しまず世話することで、滑らかで甘みのある良いお茶ができる。
徳森有機農荘
徳森有機農荘は六十石山で金針花の有機栽培を行っている農場で、土地への愛情から、無農薬栽培にこだわっている。また、トウガラシ液を加えた鉱物油を使って崩れやすい金針花を保護している。
ここを訪れたら、感動間違いなしの金針花のアイスキャンディーを味わってほしい。金針花に黒砂糖のシロップを加えたアイスは、暑い夏に食べるのに最適で、すぐに気に入るのは間違いない。
益順休閒農荘で名茶を味わう
ここの蜜香紅茶は絶品で、口に含むと蜂蜜の淡い香りを感じ、なめらかで甘い余韻が残る。製茶工場だけでなく、宿泊のサービスも提供されているので、六十石山でのんびりしたい場合はここで一泊するのも悪くない。
富里農会の地元の特産品コーナー
農会のスーパーマーケットの陳列棚には、地元米を使ったあられや有機玄米ブランといった地元富里の人気商品がずらりと並んでいる。
また、農会では、9つのマス目に富里の地元の名物を並べた興味深いデザインの弁当といった富里の最も特色のあるメニューを味わえる。弁当箱の中の硫黄フリーの金針花や柔らかくてコシのある富麗米などはすべて、地元の富里で生産された人気のある農産物である。健康によく、美味しいものがすべて収められているので、1つの弁当箱だけで十分満足できる。
六十石山の金針花
六十石山の金針花は8月下旬から9月上旬にかけて開花期を迎える。数日休暇をとって、六十石山の素朴で穏やかな農村暮らしを体験してほしい。日中の花見と夜間の星空の景色は絶対に忘れられない思い出になるに違いない。